そろそろ旅も折りかえし地点である。
ここ数日、都市部であろうKLセントラルやブキッビンタンをうろうろしてみたが、どうやら個人でやっているような自家焙煎コーヒーの店は見あたらない。
あるのは外資系のチェーン店くらいである。
自家焙煎コーヒークアラルンプールでググってみても、車で15分くらいいかないと店がない。
しかたないのでグラブで車をつかまえてとりあえずartizan roast coffeeなる店へいってみることに。
店内のかんじは日本でもみるようなおしゃれでガレージのようである。
コーヒーはロングブラックを頼んでみたけれど、もしかしたらドリップもあったかもしれない。
焙煎はお店ではなくKLセントラルあたりに工場というか作業場があるらしい。
焙煎はおそらく中深入りで酸味がある。
残念ながらブレンドは置いていなかった。
客層は若い感じだったし、クアラルンプールでもカフェなどで豆を買っていく人もいると言っていたが、インドネシアと違ってコーヒ豆は全て輸入でおそらく数量も多くは入ってこないのか、ほかの食品に対して値段が高くなってしまっているのはいなめない。
せっかく来たしなと思って周りをぶらぶらしていると、店先にコーヒー豆の焙煎機を置いたカフェを発見。ふらっと立ち寄ってみたが、ここもさっきの店と同じくエスプレッソなど主体に置いてある店だった。
台湾もそうだったが、ミルクや砂糖をがんがんに入れてあっつあつにして飲むのは豆の質の悪さを誤魔化すためである。そうしなければ日常的に飲める値段でコーヒーをだすことは難しい。
同じくロングブラックを頼んでみると、また中深いりで酸味がしっかりした感じ。
例えば東京のカフェが面白いのは、駅に近くて行きやすい場所にあるロースタリーカフェは新しくておしゃれで、浅煎りのコーヒーを出すところが多い。コーヒーを提供する側も客もトレンドに敏感なのだ。
いっぽう駅から遠くにあってちょっと歩いて行きづらい場所にあるカフェは30年以上やっている老舗がおおいが、こういう店はトレンドにあまり振り回されない。
通いつめてくれる常連と呼ばれる味の番人がいるため、コーヒーの味にしても店の雰囲気にしてもあまり変わらないことを求められる。
そういう店のコーヒーはたとえ昨今のトレンドをふまえて浅煎りだといってみたところでそれは昔から続く店の伝統的な味の範疇をでることはしない。
日本のコーヒーのトレンドはシングルオリジン、豆のポテンシャルをいかに引き出すか、まるでコーヒーではないような豊かな香りを引きだすかというところから先へ進んで、焙煎によってロースター個人の趣味や好みを出す段階になってきている。とおもう。
クアラルンプールのコーヒートレンドはどこへ向かうのだろうか。
地方で根付いたロースタリーカフェがトレンドをとらえて都市部で広がる段階をへて、外資系カフェと伝統的なカフェオレ文化の壁を乗りこえていくのか。
それとも駐在員向けの個人店が各住宅街を中心に増えていくのか。
その行方は、まだよくわからない。
そういえば日本のコーヒー豆焙煎技術はその多くが徒弟制でカフェの数は多くともその系統はあまり多くないのだが、クアラルンプールではどうなんだろうか。